金融工学とか経済物理学とか

ブラック・ショールズ・モデル。
我が大学の生協にも金融工学の教科書はそりゃおいてあります。
数学の教科書の棚に。
数理学科って金融工学の授業あるんだ。
たぶん違うだろうけど。


最近、講談社新書の「はじめての金融工学」を読んだわけですよ。
その中で「金融工学の問題点を解決するための手段」として、経済物理学なる学問が生まれた、との記述がありました。

経済物理学

なんとも妙な響きです。経済と物理。絶対に相容れないような学問領域がいかにしてクロスオーバーしてるんでしょうか。


簡単でした。


「物理学は実証の学問」なんて張り紙が実験室にあります。
まさにこの言葉どおりで、新たな理論が作られても、それが実験で証明できなければ、それはただの予言にすぎません。机上の空論なわけです。実験事実がすべてに優先する、それが物理学、いやむしろ自然科学なわけです。


経済物理学も同じで、実際の経済で起こっている現象から、それを説明する理論を導こう、というスタンスがあるとのことです。
正規分布を仮定する金融工学との大きな違いです。経済物理学はそれを仮定しません。
正規分布では何千年に一度しか起こらない、という現象も現実の経済では何度も起こっているわけですから。
正規分布という理想的な仮定の下でなく、まず現実の経済を見て、それを説明できる理論を構築する。
経済の現象に対する姿勢が物理と同じ、という意味で経済物理学なわけですね。


経済学にも興味がわいてきた。
物理学科にそんな研究室置いてるわけないしなぁ。自然科学じゃねぇよ経済物理学
経済の大学院に行くしかないのか。しかしそもそもそんな新しい学問を研究してる研究室があるのか?学部生レベルの知識すらない自分がついていけるのか?

持っているのはある程度の計算力と自然科学に対する素養だけ。


実験事実に対する強い直観力を持てる人文科学者の育成を望みます。

はじめての金融工学 (講談社現代新書)

はじめての金融工学 (講談社現代新書)